2005年11月27日日曜日

野菜を洗う女の子

『野菜のお掃除』のことを書いていて、『野菜を洗う女の子』がいたことを思い出した。と言っても、友人の家にやってくる人たちとは全然違う世界の人のことだ。

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世の中には、信じられないことをする人がいる。しかし、そういう人たちは、ある日突然大人になって生まれてくる訳ではないから、どこか、僕たちの知らないところで、その人は、その人なりに当たり前のことと信じて、その信じられないことを続けてきているのだと思う。

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もう15年以上も前のことだが、僕が東京で会社勤めをしていた頃、同期入社した同僚たちで河原にバーベキューをしに出掛けたことがあった。

バーベキューを始めるために、みんなで分担して準備をしていた時のこと。女の子のひとりが、ずっと河原に座り込んで作業をしていた。そこで、ほかの仲間たちと一緒にようすを見に行くと、僕たちはおもわず絶句してしまった。女の子は、野菜に洗剤を直接かけて洗っていたのだった。「都会では、洗剤を使って野菜を洗う人がいる」と聞いていたのだが、それは、質の悪い冗談だと思っていた。
しかし、現実を目の当たりにすると、言葉を見失ってしまう。

川面には、女の子の足下にこぼれ落ちた洗剤から続く泡の筋ができていた。まもなく、女の子は、当たり前の顔をして自宅から持ってきたミネラルウォーターで洗剤を洗い流していた。周囲の人間が黙って見守っていたのではない。ひとつひとつの行程で止めようとする者もいたのだが、女の子は、いたって真面目だったので、言葉が空を滑っていった。

その後、僕たちは、洗剤で洗われた野菜を食べた。どんな味がしたのか、覚えていない。

女の子が結婚して子どもでも生まれていたら、その子どももずいぶんと大きくなっているはずだ。あの女の子は、自分の子供にも洗剤を使って野菜を洗うように教えているのだろうか?

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電車のつり革を除菌剤で消毒してからつかまる人がいる、という話が、世の中の話題になっていた頃の話ではなかっただろうか?

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