鷹峯界隈の木々もすっかり色付いてきた。そこで、散歩に出掛けた。
目的は、光悦寺の門前へと続く小路に折り重なるような枝振りが見事な紅葉。この季節に見逃すのはもったいない。そう思って、鷹峯街道の緩やかな坂道をてくてくと歩きはじめた。
光悦寺の一番近くにある信号機のところまで来ると、柱に、「一般客の拝観お断り」の紙が貼られていた。どうも、光悦寺ではなにかの催しをやっている様子だ。
うーん。立ち止まって考えてみたが、何もひらめくものがなかった。
せっかくだから、少しでも紅葉を見れないかと思って、そのまま光悦寺に向かって足を進めたが、門前の通りに連なっているたくさんのタクシーには失せるものがあった。
自宅から歩いた距離にしてみれば、たいしたことはない。それでも、引き返すにはなんとなく口惜しい気がしたので、光悦寺の門前に未練がましく立ち尽くして辺りの様子を眺めていた。すると、和装にめかしこんだ方々が次々と出てきて、週末の昼下がりに紅葉を楽しむ風情とはずいぶんと異なるように思えた。
さきほどの張り紙を見たときは、ずいぶんとぶっきらぼうな印象を受けたが、ここに来て、「なるほど」と、飲み込むものがあった。
お、そうだ。
先日、『からみ大根』の話を書いたこともあって、『光悦茶屋』の『からみそば』を食べに行くことにした。
光悦寺から100メートルと離れていないから、ここから向かうとすれば、すこし得した気分だ。
うーん。僕は、単純すぎるのだろうか。
店に入ってみると、今日は心無しか人が少ないように見える。
『光悦茶屋』は、『光悦寺』や『源光庵』を訪れる観光客でいっぱいなので、ついつい足が遠のいていたが、ははーん。観光客は、光悦寺のところで引き返したのか?お客が少ないというのは、お店の方には申し訳ないが、客の側からすると、落ち着ける感じがする。
さてさて、席を陣取って、『からみそば』と『焼きおにぎり』を注文することにした。
間もなく、温かな汁そばに『からみ大根』をおろしたものがのせられてやってきた。
『からみそば』の具は、『からみ大根』だけである。シンプルといえば、シンプル。
『光悦茶屋』ではないのだが、夏場に食べた『からみ大根』は、おろした状態で、ざるそばの薬味として添えられていた。それをつけ汁にいれ、そばにからまる『からみ大根』を食べていた。そばにからんだ『からみ大根』は、そばを噛む度にぴりっとしたアクセントになって、食べ終わると、冷たいそばを食べたはずなのにほかほかするという、不思議な感じがした。
温かなそばの場合は、どうだろう?
まず、一口汁を飲んでみると、ややあっさりとした感じの味がした。そばの上の『からみ大根』がこぼれないように持ち上げてズズッとやる。細めの麺は、ゆでるとすこし柔らかく感じるが、『からみ大根』のきりっとした味わいにからまると、なかなかいい案配になる。あっさりとした汁を麺を食べる合間に流し込むと、余分なものがない、という印象だ。
食べ始めは、あっさりとした汁が、麺をほとんど食べ終わる頃には、『からみ大根』が汁の熱を貰って甘くなってきて、すこし趣きが異なってくる。これはなかなか良い。
いやあ。これから冷え込みがきつくなって、『からみ大根』の辛さに甘みが加わってくると、どうなってくるんだろう?
うーん。たのしみ、たのしみ。
すっかり満足して、店を出た。
傾き始めた太陽に風もすこし肌寒い感じなのだが、体はほかほかだ。
さて、どこに向かおう。もう少し足をのばせば、この辺りだと自生している紅葉を楽しむこともできる。
すこし遠回りしてから帰ることにした。
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